オーガニック

Organic 2005

Young Brazilian
30 Jul 2005
リオ・デ・ジャネイロの北700kmにあるブラジルの田舎町ゴンザガ(Gonzaga)の若者の半数は明るい未来を夢見て海外に出て行く。その中の一人に誤って自爆テロの容疑者としてロンドンで射殺された27才の青年がいた。彼の家族は町から30分ほど離れた赤土のホコリにまみれた道沿いに住んでいる。その一帯は小さな丘がいくつも点在し、人々はトウモロコシやサトウキビなどを作って生活している。少し裕福な家庭は牛などを飼育しているが、ほとんどが自給自足の生活だ。彼が子供の頃、父親によく語っていた。「おとうさん。ラジオで言っていたけど、イギリスやフランス、合衆国ではお金をいっぱい稼げるんだって!」「もし、そこに行くお金があれば、ぼくも行くよ」
電気技師になる事を望んでいた青年はサン・パウロでロンドン行きの準備をし、24才のときに旅立った。しかし、自営でする電気技師の仕事では十分な稼ぎを得られず、稼いだお金はほとんど生活費にあてられた。それでも彼はロンドンで幸せだった。ブラジル政府の発表によれば、推定で3百万人のブラジル人が海外で生活している。そのほとんどが25才から35才の男性だと言う。現在もゴンザガに最も近い大きな町ゴヴェルナドール・ヴァラダーレスではアメリカ、ヨーロッパ、日本へ行くためのパスポートを求める長蛇の列ができている。射殺された青年の13才のいとこも将来はお針子としてロンドンで働き、家族に送金したいと語る。