オーガニック

Organic 2005

Survivors
13 Oct 2005
カシミール(パキスタン)地震から六日目、被災地バラコットの救援センターには崩壊した村々から救援物資を求めて人々が続々と集まって来る。アライから来た一人は11時間歩き続けてようやくここにたどり着いた。歩ける者はまだ幸せだ。寸断された道を歩きながら彼等が途中で見てきたものは草を食べている餓死しそうな人々と村中いたるところに放置された遺体だった。
現在バラコットには世界中からの救援チームが集まっているが、誰かがそれらを調整しなければならない。医療チームのドクターは外科用のツール、殺菌装置無しで手術を行い、応急処置を受けた患者もいつペシャワールの病院に搬送されるかわからない状態だ。
バラコットから3時間離れた村から来た女性、ナイードさんは最初の揺れを感じた時にテラスにいたことを覚えている。次の瞬間、屋根が落ち始め、揺れが続くと屋根は崩れた。揺れが収まると彼女は瓦礫に飛びついて必死に夫と二人の子供を引きずり出したが、一人の娘はあまりにも遠すぎた。彼女がなにもすることができないまま残りの屋根が崩れ落ちた。彼女の夫は背中に重傷を受け、息子は学校が崩れ落ちたときに死亡した。10才の娘は遺体すら見つけだせない。四日後、村に救助が来ないことを悟った彼女は友人達と夫をバラコットまで運んでやってきた。しかし、応急処置を受けた彼女の夫は毛布に包まり路上の担架の上に横たわったままだ。回りの山々を見れば頂上はすでに雪におおわれている。