オーガニック

Organic 2006

Miss England 2005 visits Pakistan
昨年9月、イスラム教徒として初めてミス・イングランドになったアマッサ・カヒスタニ(Hamassa Kohistani)はビューティ・クィーンの資質をすべて持ち合わせた女性だ。
クィーンの冠を身につけたアマッサがその年に成し遂げようとしたことは彼女の外見と同様にはっきりとしていた。19年前、アフガニスタン難民の子としてウズベキスタンで生まれたアマッサの目的は一つ。読み書きのできない子供達に手を差し伸べ、アフガニスタンに自らのNGO団体を設置することであった。
彼女がもしアフガニスタンで生まれ育っていたなら、タリバン政権の下では十分な教育を受けられなかっただろう。今、アマッサはロシア語、ペルシャ語など6ヵ国語を話すマルチリンガル。学力レベルも4と、3Aの上をゆく。そんな彼女が今パキスタンにいる。
ラワルピンディ(Rawalpindi)の小さな学校ではアマッサが子供達に囲まれ、途方に暮れている。彼女は慈善団体が運営する学校を訪問しているのだ。手作りの贈り物に触れながら、数時間後にはこの子たちは教室を出て低賃金で危険な仕事に戻らなければならないことを彼女は知っている。
「教室での楽しそうな子供達の顔を見ていると、ストリートに戻って行く時の彼らを見るのは辛いわ」と、アマッサは目に涙を浮かべる。慈善団体が彼らの親にアプローチするまで、彼らはまったく読み書きができなかった。今、彼らは仕事と勉強の時間をきちんと区別している。
子供達が学校に通うことはその家族の収入が減ることを意味する。そこで慈善団体は基金から一日20ルピーを子供達に支払って親を説得し、子供達を家具工場などから連れ出しているのである。20ルピーはチャパティが7個買える程度の値段だ。
13才のワレド君は学校の前後にソファーやクッションを作りながら一日8時間以上働いている。「今ぼくはウルドゥー語より英語の方が読み書きは上手だよ」と、得意に言うワレド君。彼は1千万人以上いるパキスタンの働く子供達の中の幸運な一人。
アマッサはもちろんそれを承知している。「ここの子達はまだ恵まれているわ」「でも、アフガニスタンには何もない」と、彼女はその決意を固くする。
「アフガニスタンの女性として私はただ教育だけの価値を認めているのではない」「それはモデルにもなり、教養も身に付けることと同じこと」と、ミス・イングランドの年が終り、NGO設立に向けて多くを学んでいるティーンエイジャーが語る。
19 Jul 2006