オーガニック

Organic 2006

Tokyo Rose
第2次世界大戦中、NHKの海外向け放送「Zero Hour」で英語アナウンサーとして勤務していた戸栗郁子(Iva Toguri D'Aquino)さんが26日に90才で亡くなった。
「Tokyo Rose」とは当時の連合軍向けプロパガンダ放送「Zero Hour」でアナウンサーをしていた女性たちを米軍兵士たちが呼んでいた名である。
戸栗さんは1916年7月4日、日系移民の子としてL.A.に生まれ、Ivaというファースト・ネームは学生時代に使い始めた。UCLAを卒業した後、1941年に祖母の病気見舞いに来日したところへ第二次世界大戦が勃発。帰国できなくなった彼女は生活のために片手間の仕事をするが、やがてラジオ東京のプロパガンダ放送へと導かれた。
終戦直後、ラジオ東京の複数の女性アナウンサーのうち、「東京ローズ」と名乗り出たのは彼女だけであった。占領軍に逮捕されれた彼女は巣鴨に収監され、その後証拠不十分で釈放されたが、アメリカ帰国後の1948年6月に再逮捕。その背景には選挙を控えていたトルーマン大統領が反逆者に対して弱気であるという批判の声があった。
そして1949年9月サンフランシスコ連邦裁判所で国家反逆罪により戸栗さんは禁固10年、罰金1万ドル、アメリカ市民権剥奪の有罪判決を受ける。同じような罪でもドイツ系アメリカ人は短期間だったのに対し、彼女は10年の禁固刑。これは当時のアメリカがいかに人種差別的だったかを物語っている。
彼女は模範囚として6年で仮釈放されシカゴに移り住む。その後の調査により全米日系市民協会やハワイ州知事、カリフォルニアの両院などで特赦を要求する運動が起こり、1977年フォード大統領の特赦で市民権を回復した。その間、彼女はずっと無国籍であった。
戸栗さんは90才の誕生日に第二次世界大戦退役軍人委員会から賞を授与される。戦時中、彼女は東京で自らの危険を冒して捕虜に食料や薬を差し入れていたのである。現在、ハリウッドでは彼女の物語りが制作が準備されている。
27 Sep 2006