オーガニック

Organic 2007

Right roles
委託産業ブームに沸くインド。23才のニキタ・パティルさんは他の若者たちと同じようにコールセンターで働き、少なくとも毎日100人に電話をかけて国内電話会社の製品およびサービスを販売している。彼女の収入は月に約220ドル。ただ一つ、彼女の顧客が想像し得ない事は彼女の目が不自由なことだろう。
「いつも異なった顧客を相手にするのは簡単なことではないわ」「フレンドリーな人もいれば、対応を戸惑うような失礼な客もいるのよ」「時々退屈になる事もあるけど、楽しんで続けている」とニキタは語る。
委託産業はインドの経済成長に大きな役割りを担ってきた。国の多くの若者は今までになく手に職を得て、豊かになってきた。ムンバイにあるこのコールセンターはそんな流れに乗り遅れたくない目の不自由な人たちのために全国盲人協会(National Association for the Blind)によって開設された。10人のオペレーターはニキタと同じように目の不自由な男女である。
「委託産業ブームは目の不自由な人たちへ多くの選択肢を与えてくれた」「目に障害のある人は非常に記憶力が良く、聞き上手、話し上手でもあり、売り上手でもある」とNABの人事部長はいう。
通常のコールセンターではオペレーターはコンピュータ・スクリーンのデータを参照しながら顧客と情報を伝え合うが、ここではそれを音声に変換してオペレータが聞き取っている。したがって彼らは常にサーバーと顧客に接続されている2台の電話機を操作して、必要データを聞き取りながら顧客と会話し、さらに顧客から得た情報を電話機から入力しているのである。
このソフトウェアを開発した業者は通常のコールセンターでもソフトは使用できるという。また、グローバル・ビジネスの委託会社 Firstsource Solutions の報道官は「人にはマネージメントや顧客サービスに向かなくても、データ照合や製品販売の才能がある人もいる」と適材適所を指摘している。
急成長するインド経済で多くの会社が人材不足に悩んでいるいま、企業主がその雇用方針をさらに想像させれば、障害者にも多くの道が開けるだろう。
28 May 2007