オーガニック

Organic 2007

Changing climate on Tibet
世界でもっとも大量の温室効果ガスを排出する国のひとつ中国。ある人はすでにそれは世界一だと言う人もいる。そんな中国の西の果て、海抜何千メートルもあるチベット高原にも気候変動の影響が現れている。
平均標高が4000mを超えるチベット高原は低温、強光、短い生育期間など生物の環境条件は厳しく、高原の生態系は地球温暖化の影響を受けやすいと言われている。そこには中国最大(琵琶湖の8倍)の内陸塩水湖・青海湖がある。天空の聖地とも呼ばれているチベット高原は一見、何百、いや何千年も変わっていないように思える。しかし、そこに住む人々の証言は異なっている。
ある23才の女性は「私の母が若かったころには湖はここにあった」と現在の湖畔から300mも離れた地点を指差して言う。科学者たちは地球温暖化現象が急激に湖水を蒸発させていると説明する。
そして青海湖を後に更に西へ進めば焼けつく太陽の下、乾燥したゴビ砂漠に突き当たる。もともとゴビ砂漠は夏は45度を超える日もある灼熱の地であり、冬は-40度を割り込む日も少なくない厳冬の地である。その砂漠も近年急速に拡大している。
さらに黄河、長江、メコン河の水源地帯となっているXidatanの氷河も年々溶けて縮小している。もしその氷河が姿を消すなら下流に住む何億という人々に莫大な影響を及ぼすであろう。住民のひとりは「夏は以前より暑くなり、冬は寒くなった」「今は夏であるはずなのについ先日は雪が降った」という。
青海省で起きていることは地球温暖化による気候変動のアラームである。それは中国だけに限らず、アジアそして世界に向けての警告だ。
22 July 2007