オーガニック

Organic 2007

Detroit Blue
アメリカ人がいま胸の奥で心配していることは自国経済の先行と、ライフスタイルの変化である。ここミシガン州ではその嫌な前兆ともいわれる事態がすでに起こっている。
統計によれば、人口約1,000万人のミシガン州で過去7年間に40万人の人が職を失ったという。その失業率もデトロイトでは全米平均の倍の8%近く、ローンが払えなくなり差し押さえられた住宅の数も全米No.1だ。
デトロイトのGleaners Community Food Bankの職員は「ここは貧困に向かうグランド・ゼロ(ground zero)」「かつては製造業の都だった街からすべてが消散してゆく」と語る。
その慈善食料銀行へ無料の食料を受け取りに来たダニエルさんは民間のエンジニアとして22年間仕事をしてきた。しかし、州政府が税基準の縮小として私的企業との契約を切り詰めたため、彼は8ヵ月前に解雇された。
以前の彼の年収は年間9千ドル。が、今はゼロ。失業保険の期間も過ぎ、貯金も使い果たした。次は家を手放さなければならない事態に陥っている。中流家庭だと信じていた家族が貧困ラインを越える一例である。
下落する不動産価格に加えて原油価格の上昇がさらにこの国の経済を圧迫しているのも、いかにアメリカが石油に依存しているかを指し示す。
一世紀近くも自動車産業に君臨してきたデトロイトと他の都市が同じ運命をたどるとは考えにくい。しかし、慈善団体は「この状況を見逃してはいけない」「これは全米のどこにでも起こりうること」と警告する。
16 Nov 2007