オーガニック

Organic 2009

Arctic trail
ドイツ船籍の貨物船が西洋船として初めて極東アジアからヨーロッパへ至るロシア北極海航路を通過した。その貨物船「The Beluga Foresight」の船長がその航海を語る。
「そこには驚くほど氷がなかった」「20年前、私は北極圏東部で仕事をしていたが、その頃と同じ場所だとはとても想像ができないくらいだ」「我々は砕氷船にエスコートされながらその航路を進んだが、砕氷船がなくても十分航行可能だった」「やがてこの北極海航路は1年を通して航行可能になるだろう」
韓国を出港した「The Beluga Foresight」はまずウラジオストクに寄港し、ベーリング海峡を通過して北極圏に入った。そこからシベリアのヤムブルグ(Yamburg)に寄港。現在ロシア北西部のアルハンゲリスク(Arkhangel)に寄港している。これから先船はスカンジナビア半島を回りロッテルダムへ帰航する予定だ。
北極海航路は1897年にスウェーデン人のノルデンショルドが完航に成功して以来、水路調査や資源探査などが行われてきたが、その後ロシアの許可なしに航行することができなくなった。しかし、近年なってロシア政府は北極海に面する各港湾を外国船に解放するようになり、それらの港も国際港湾としての要件を徐々に満たすようになってきている。
現在の極東欧州航路はマラッカ海峡、インド洋、スエズ運河、地中海を通る航路だが、通常は早くても1ヶ月以上はかかる。しかし、北極海航路を通れば10日は短縮できるという。しかもそこには海賊がいない。
これはビジネス・ポイントから見れば大きな一歩には違いないが、環境保護にとっては大きな警告になる。世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature)ロシアのアレクセイ・ココリン氏は「これは北極の氷が融けている明確なシグナルであり、地球温暖化現象がよりいっそう早まっている証拠だ」「そしてそれは地球上のすべてに影響を及ぼす大惨事になりかねない」と警告している。
そんな中「Beluga Shipping」はすでに来年度の北極海航路貨物の予約を開始したという。
19 Sep 2009