オーガニック

Organic 2010

Inner-tube taxi
ミャンマーは世界でも孤立し閉ざされた国の一つである。そんな国の人々と物がタイ西部の国境にあるモエイ川 (River Moei)を渡って日々流通している。
川は石を思い切り投げれば対岸にとどくほどの広さで、そこには「友情の橋」 (Friendship Bridge)と名付けられた橋があり、人や物の往来が絶えない。ミャンマー人は通常そこから1日だけの入国を許される。しかし、橋は朝6時に開き夕方6時には閉まってしまうため、必然的に彼らはタイの国境の街メーソット(Mae Sot)からさらに遠くへは行けないのが普通である。
タイのクリニックに行くというある身なりの良い女性はミャンマーの街ミヤワディ(Myawadi)よりメーソットの方が設備が整っているために通うという。時々価格がいいときは金を持って来てタイで売りさばくともいう。また乾燥したエビを売りに来る女性もいる。タイの学校へ通う制服を着た少年もいる。彼らはすべて12時間以内にミャンマーに戻って来る合法的な来訪者だ。
そんな中、タイに長く滞在してより遠くへ向かうミャンマー人も多い。メーソットの街は密貿易の街として有名ではあるが、彼らはさらに遠くへ出かける。そんな彼らが国境を渡るときに使うのが「チューブ・タクシー」である。モンスター・トラックに使われるような大きなタイヤのゴムチューブを浮かせて対岸に渡る。ゴムチューブの運賃は日本円にして約45円。もちろん完全に非合法である。
一度に8人は乗れるというこのゴムチューブの乗り場はモエイ川に沿って幾つかあり、その一つは「友情の橋」 から3分と離れていない。そこの船頭(ゴムチューブのドライバー)は多い日に1日200人以上を運ぶという。
また、その近くにミャンマーの国境警備兵もいるが、彼らは見て見ぬ振りをする。彼らもゴムチューブの分け前を得ているのだろう。
10 Feb 2010