UEFA EURO 2008

Dutch substance

ユーロ1988年大会、マルコ・ファン・バステンの目の覚めるようなボレー・シュートで優勝して以来、オランダが主な国際大会でトロフィーを手にしたことはない。あれから20年、後にも先にもオランダが優勝したのはその一度きりである。そのファン・バステン率いるオランダ代表がグループCで9日にイタリア、13日にフランス、17日にルーマニアと対戦する。
「毎回大国にチャレンジできる小国はオランダだけだ」と自負するのは元オランダ代表MFロナウド・デ・ブール。わずか人口1千7百万にも満たない小国が供給源の豊富なドイツ、イタリア、フランスなどの大国と常に渡り合えるのは奇跡的である。デ・ブール兄弟の弟、ロナウド・デ・ブールが開幕直前のオランダ代表を語った。
「誰もが知ってのとおりオランダは最高の攻撃陣を備えている」「スナイデル、ファン・ニステルローイ、ファン・デル・ファールト、ファン・ペルシー、ロッベン、フンテラールらは強国のゴールを脅かすに違いない」「心配なのはディフェンスのことである」とロナウドはいう。予選12試合で15ゴール、5失点というオランダ代表のどこにディフェンスの欠点があると言うのか。
第二次世界大戦前にイングランド人コーチ、ジャック・レイノルズがアヤックスにアタッキング・フットボールを紹介して以来、リヌス・ミケルス、ヨハン・クライフといった伝説のコーチ、プレイヤーたちがオランダのトータル・フットボールをブランド化させた。ポジション・チェンジ、スペースの活用、創造的なアイデアが必要条件であるそのシステムはアタッカーのごとく機能するディフェンダーによって支えられている。それらの攻撃が始まるのは常にバック・ラインだ。
「1974年のワールドカップでミケルス監督が起用した4バックは2人の元フォワード(アーリー・ハーンとルート・クロル)に元ウィンガー(ヴィム・シュールビア)とセンターハーフ(ヴィム・ライスバーヘン)の4人」「1988年はベリー・ファン・エーレ、フランク・ライカールト、ロナルド・クーマン、アドリー・ファン・ティヘレンと同じく攻撃的な守備陣だった」「特に1974年と1988年のオランダ代表は全員で守備をして全員で攻撃をした印象が強い」「今の4バックはどうだろう」
「我々は毎年のように素晴らしいプレイヤーを排出している」「そして魅力的なフットボールでイタリアやフランスのような大国を打ち破るのを楽しみにしている」「しかし、そのような国は魅力的なフットボールなんてどうでもいいこと」「ただ勝ちさえすればそれでいい」「トップ・レベルでは勝たなければならない」
「バランスと多様さは成功したチームの鍵である」「体力とパワーのフリット、技のファン・バステン、彼らを支えるエルウィン・クーマンやアーノルト・ミューレンは真のチームプレイヤーだった」「そのバランスと多様さに今のチームは欠けていると思うのは私だけだろうか」とデ・ブールはいう。
5 June 2008

ワールドスポーツ

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