FIFAワールドカップ2006

A man with no experience

 オランダ代表が最終予戦を待たずにワールドカップ出場を決めたのは1934年以来はじめてのこと。今大会の予選中で勝ち点3を取りこぼしたのは一度だけ、就任時には誰も目を向けなかったマルコ・ファン・バステン監督率いるオランダ代表チームは今、国民を魅了し続けている。ファン・バステン監督がKNVB(オランダサッカー協会)から与えられた任務は2008年スイスで開催される欧州選手権で成功できるチームを作り上げることだった。それが今はFIFAランク2位、そして4位のチェコをプラハで撃破するなど本人も信じられない程にオランダは強い。
 チェコとの戦いで比較をすれば、昨年のユーロ2004ポルトガルでは2-0から2-3とゲームをひっくり返されている。その後に就任したファン・バステン監督はメンバーをバッサリっと切り替えた。残ったメンバーはGKファン・デル・サール、MFファン・デル・ファールト、FWデレク・カイトの3人だけ。それから16ヶ月、次から次へと無名のプレイヤーがオレンジのユニフォームを身に付け欧州予選を勝ち抜き、先の試合ではミラン・バロッシュの動きを見事に国内リーグのディフェンダーが封じた。
 ファン・バステン監督はプレイヤーのウォーム・アップを腕を組んで見守っているような監督ではない。アシスタント・コーチとゴールに入ってPK戦を楽しんでいる。そんなファン・バステン監督が週末のインタヴューで語っている。「キース・ライフェルス(Kees Rijvers)監督の事を忘れてはいないかい?」「彼は私を含め、ジェラルド・ファネンブルフやフランク・ライカールト、ルート・フリットらを早い時期から代表に選んでくれていた。それが1988年にヨーロッパを制したチームのバックボーンになったんだ」「われわれは同じことをしているだけだよ」
 PSVが今のアヤックス、フェイエノールトと共に3強と呼ばれるようになったのも80年代に入ってからの話だが、キース・ライフェルス氏は70年代にそのバックボーンを築いている。ファン・バステン監督は続ける。「たしかに何人かのプレイヤーはトップ・レベルでのゲームの経験が少ないかもしれない。しかし、そこにわれわれのチームが必要とする確かなタレントを見出せる可能性があることの方が重要だ」「われわれはベスト・チームを選んでいる、ベスト・プレイヤーを選んでいるのではないんだ」
12 Oct 2005

ワールドスポーツ

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