FIFAワールドカップ2006

Unique Country Brazil

「Brazil」その言葉は最高のフットボールを要約する。卓越した個人技のコンビネーション。天才が作り出す流動性あふれるインスピレーション。それら芸術的プレイは見る者を否応無しに魅了する。
この50年、ガリンシャ、ペレ、ジャイルジーニョ、ソクラテス、ジーコなどを生み出し、ワールド・カップ5回の優勝を誇るブラジルは今大会も優勝候補の筆頭に上げられている。なぜこの国がそれほど多くの素晴らしいチームと素晴らしいプレーヤーを作り出すのか?
ブラジル代表カルロス・アルベルト・パレイラ監督は次のように説明する。「代表チームは国家を証明するするシンボルであり、唯一国が一つにまとまる時だ」「他の国ではワールドカップが終ると、人々は普段の生活や仕事のことを考えはじめる。でも、ブラジル人は年中そのことを話題にするのさ」
多くの偉大なブラジルのプレイヤーはスラム街で育ってきた。ブラジルの子供達は他の国とは非常に異なった方法でフォットボールを学ぶ。そこには小さな子供達のためのリーグ戦や大会と言ったものがない。それらはプレイヤーの創造的な刺激を妨げる可能性が高いと考えられている。
子供達は沢山プレイするが、それらは常に自由だ。指導者は8才の子供に「こうしなければならない」などと言うことはない。指導される事に適した年齢になるまで自由を与えるのである。結果、彼らの創造力のセンスは決して失われない。
もし、他の代表チームがワールド・カップ最終戦を前にチーム・バスの中で踊っていたら、試合に集中していないと見なされるだろう。しかし、ブラジルでは話をして笑っていなければ怖がっていると思われる。思考方法の違いである。あのロナウジーニョの輝く微笑みの裏には膨大な練習量が潜んでいるのだ。
また、戦術的にもブラジルは今日まで他の国とは非常に異なっている。フルバックはしばしば敵陣深く駆け上がり、本当のディフェンダーと言えるのはセンターバックの2人ぐらいだ。それらはプレイヤーの質がそれを可能にできるから成り立っている。
成功が成功を生み出し、ブラジルでは毎日のように素晴らしいプレーヤーが生まれると言われる。しかし、最も重要なのはブラジル独特の環境が彼らを一つにしていることだろう。
24 May 2006

ワールドスポーツ

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