UEFA チャンピオンズリーグ 2005-2006
Detoxicant
- 欧州のほとんどのクラブが一世紀以上の伝統を誇る中、ACミランとバルセロナの設立は1889年、アーセナル1886年と今期のCL準決勝に残ったクラブも例外ではない。
- ただ一つ、ヴィジャレアルだけは1923年と比較的新しい。このことは2001年に1921年設立のアラベスがUEFAカップ決勝戦に進出して以来の快挙と言っていい。けれどもこれはチャンピオンズ・リーグ。ヴィジャレアルはエバートン、レンジャース、マンチェスターUtd、そしてインテルを退けて勝ち上がって来た。
- アーセナルはその伝統と歴史の中でCLファイナルに勝ち進んだことがない。どちらが勝ち進むにせよ一つの記録がうまれることになる。もし、バルセロナとヴィジャレアルが勝ち残ることになれば、レアル・マドリー対バレンシア以来の2度目のスパニッシュ・クラブ同士の決勝戦になる。そのときの舞台も同じパリだった。
- スペインから見れば自国のクラブチームが準決勝に進出することはレアル・マドリー21回、バルセロナ8回、アトレティコ・マドリー3回、バレンシア2回、デポルティボが1回と、驚くべき事ではない。違いがあるとすれば、ヴィジャレアルはかつて準決勝に進んだクラブのホームタウンとしては人口47,000人とモナコの32,000人に次いで2番目に小さい町という事。そして、このチームが他のクラブで不要になったプレイヤーを蘇生させて成り立っているところにある。
- エル・マドリガルはある種の解毒剤のような役割を果たしている。トラウマをもったプレイヤーがある程度時間をかけて彼らの信頼を取り戻して行く。リケルメ、フォルラン、ソリン、ホセ・マリなど、何れも前のチームでは活躍したとは言えない。オールド・トラフォードで4シーズンで10点しか決められなかったフォルランは昨シーズンは25ゴール。2002年にボカ・ジュニアーから鳴り物入りでカンプ・ノウにやってきたリケルメも何かが噛み合わずに30試合を消化してしまった。
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リケルメにはロナウジーニョのような才気のひらめきはない。ピッチにいてもほとんど気付くこともないほど控えめだ。時々彼はボールを持ったプレイヤーとFWとの間に躍り出て相手DFに悪夢を見せる。ゆっくりとした彼にタックルをしかけても、もうそこにはいないし、マークしようとすれば、深く下がってしまい、マンマークも退屈になってしまう。そして、彼は不思議なほどボールを失わない。FWがスペースを見つけて走り込めば彼は常にそれを見つけ出し、決定的なパスを送り出す。すべてが彼を通して始っている。アーセン・ヴェンゲル監督もこのことは十分承知している。まずは金曜日のリーガ、バルセロナ対ヴィジャレアルに注目するだろう。
12 Apr 2006
ワールドスポーツ
サッカー大好きな人のためのワールド・スポーツ情報。ニューヨーク、ロンドン、アムステルダムからのレポートを中心にお伝えします。