ウルトラヒップ Ultra-Hip

Nigerian's Highlife

ファタイ・ローリング・ダラー(Fatai Rolling Dollar)は79才。小柄で痩せた男の手にはタバコとギター。目はステージの上でいつも輝いている。彼はアフリカン・ミュージック「Highlife」現役最高齢のミュージシャンだ。
1940年代から60年代にかけて「Highlife」は西アフリカのサウンドそのものだった。それはアフリカの伝統音楽にジャズ、カリプソ、ルンバ、ミリタリー音楽などが混ざったアフリカ最初のフージョン・サウンドでもある。当時は上流階級の人々が通うクラブで演奏されていた為に「Highlife」と呼ばれていた。
その音楽はガーナからナイジェリアへと広がり、ボビー・ベンソン(Bobby Benson)やドクタ−・ヴィクタ−・オライヤ(Dr Victor Olaiya)など多くのミュージシャンを排出。そんな中、ローリング・ダラーは40年代に結成され50年代、60年代とラゴスで全盛期を向かえた。
しかし、1967年から1970年のナイジェリアの内戦でミュージシャンは軍隊に取られ、ナイトクラブは閉鎖されて行く。その後、演奏者がいなくなったナイジェリアでは「Highlife」は忘れられ、ジュジュやアフロ・ビートに変わった。そして今はヒップホップがナイジェリアの音楽マーケットを独占している。
そんなナイジェリアでいま「Highlife」を復活させようとする人々がいる。ラゴスのオージェイズ・バー(Ojay's bar)では毎月の最終日曜日は「the Great Highlife Party」が開かれ、発起人のジャーナリストはそれがナイジェリアの音楽シーンに影響を及ぼすことを期待している。
「ヒップライフと呼ばれているガーナのヒップホップを聞いてごらん」「それはヒップホップかもしれないけどルーツにはハイライフがある」「でもナイジェリアの若者の音楽はその未来をアメリカに見ている」「アイデンティティーがないんだよ」と彼は言う。
ドラムス、ボンゴ、ギター、トランペット、サックスをバックにローリング・ダラーは歌ってギターを弾く。それぞれの曲は約10分。その日曜のオージェイズ・バーは満員だ。「Highlife」の偉人たちの多くはもうこの世にはないが、音楽は生き続ける。
28 Aug 2006

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