ウルトラヒップ Ultra-Hip

SOS Music Festival

エジプトのカイロにあるチャイニーズ・ガーデンで開催された「SOS Music Festival」に1万5千人の若者が熱狂した。
SOSミュージック・フェスティバルは独創的なエジプトの若手ミュージシャンを支援するプロジェクトとして組織されて今回で2回目となる。その音楽はロック、ヘヴィーメタル、レゲエ、ジャズ、ヒップホップ、ライとそのジャンルも多彩だ。オーガナイザーはフージョン・ジャズ・バンド「Eftekasat」のギタリストでもある28才のオーソ。
彼の目的はグッドでオリジナルなアンダーグラウンド・ミュージックのためのプラットフォームを築くこと。「いまエジプトでの音楽に対する評価は低い」「それは革新すると言うより真似る傾向にある」「ぼくはそういった世代に新しい独自の音楽を楽しむ場を提供したいんだ」と語るオーソ。
エジプトでは400人以上の観衆を集められるコンサート会場などめったにない。ドラムセットやPAセットなどをそろえるのも一苦労で、リハーサル・スタジオなど練習場所を見つけるのも難しい。しかし、SOSミュージック・フェスティバルはメジャーなスポンサーのおかげで入場料は無料。会場も野外で、ヘッド・バングしている若者の横では家族連れがピクニックを楽しんでいる。
8時間のフェスティバルを堪能した19才のディーナは「Jaffa Phonix」のステージに感動したという。「Jaffa Phonix」はパレスチナ難民の兄弟が2003年に結成したバンド。彼らは中東との結びつきや苦難をラップする。その歌詞はパワーにあふれるクールさがる。
こういった反応こそオーソが求めていたことであった。「エジプトで若いミュージシャンであることはチャレンジだ」「そこには音楽学校も音楽教師もいない」「それでもミュージシャンは心に触れるメッセージを持たなければならない」と彼はいう。
宗教を軽蔑しているとしてエジプトでヘヴィーメタルが禁止されてほぼ10年。この日チャイニーズ・ガーデンで再びその爆音が響いた。エジプトの音楽ファンはウム・クルスーム(Oum Kalthoum)のような伝説の名歌手が再びこの国に現れることを期待しているだろう。第3回のフェスティバルは来年の春先に予定されている。
30 Nov 2006

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