ウルトラヒップ Ultra-Hip

New York Noise

色とりどりの創造力が受粉しあい、まだマネーという障壁がなかった70年代後期と80年代のニューヨーク・ローワーイーストサイド。その「アートピア」(artopia)の時代を神話化するまた一冊の本が発売された。
そこは廃虚アパートが建ち並ぶ暗くて危険な場所。人よりもネズミの数の方が多かったこんな地域でも、創造力をスパークさせれば誰でもこの荒廃した地区を可能性のある「アートピア」と思えた。「New York Noise」は写真家ポーラ・コートがキャプチャーした1975年から1988年までのそんな時代のイメージ・コレクションだ。
猛スピードでジェントリファイされてしまったローワーイーストサイドも昔は人も寄り付かない危険な区域だった。そんな街で時おり開かれるギャラリー・パーティやアフターアワーズ。あるオールナイト・パーティではやがて訪れる死をあざ笑うかのようにウォーホール(Warhol)とバスキア(Basquiat)が一緒にポーズをきめている。
デイヴィッド・バーン(David Byrne)や白いバイオリンを調律するローリー・アンダーソン(Laurie Anderson)。ダンサーのビル・ジョーンズ(Bill T. Jones)にバレーボールを楽しんでいるパフォーマンス・アーティストのシンディー・シャーマン(Cindy Sherman)やキム・ゴードン(Kim Gordon)。
飛行中のシーンをキャプチャーすることは容易な仕事ではない。彼女がそれを可能にしたのは長くウースターグループ(Wooster Group)の写真家としてアート、音楽、シアターなどの世界で信頼とコネクションを得た結果だ。
飾り気のないありのままの彼女のイメージはドキュメンタリータッチで日記のようにつづられる。カメラの前では騒々しい熱気がアニメーションのように即興的瞬間を縫い進んでゆく。
10 Dec 2007

Ultra-Hip

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