オーガニック

Organic 2009

Bacteria change the weather
イースト・ロンドン大学のブルース・モフェット教授は屋上に立って雨粒を採集している。ある科学者グループが「バクテリア(細菌)が天候を左右するのではないか」と研究しはじめて25年、彼もその一人である。
「雨を1リットル溜めるのに何粒の雨が必要だと思う?」「それは約25万粒だよ」と話しかけるモフェット教授。しかし、彼の研究にはそんなに大量の雨水を必要とはしない。ただ、お皿にたまるほどの雨水を研究室に持ち帰ればいいのである。
「地上に雨が降る前に、雲の中の水分(H2O)は一度凍結しなければならない」「しかし、時として水は摂氏0度で凍るわけではない」「真水は摂氏-40度まで凍らないし、雲がそこまで冷たくなることも滅多にない」とモフェット教授は雨が降る理論を説明する。
では、なぜ雨が降るのだろうか?それを実験で示してくれたのがフランスはアヴィニョンの国立農業研究所の病理学者シンディー・モリス博士。彼女は摂氏-6度に冷やされた水(凍っていない)を試験管に取り出し、そこに一粒のバクテリア培養液をたらした。すると、摂氏-6度に冷やされた水は見る見ると凍結していった。彼女が落とした培養液は緑膿菌(Pseudomonas)である。
緑膿菌は空気中のどこにでも存在する代表的な常在菌の一種で、植物の葉に見つけることができる。そのバクテリアが水を凍らすために自らの栄養を放出して細胞壁にダメージを与えるというのが彼女の理論だ。この農作物と雲の自然サイクル理論は「bioprecipitation」(生物起因の降水理論)と呼ばれている。
モンタナ州立大学の植物病理学者デヴィッド・サンズ教授は適切な農作物なしでは雨は降らないと提言する。ダルフールやオーストラリアで干ばつが起きているのはそれらのバクテリアを生成する小麦や大麦などを育てず、行き過ぎた放牧をコントロールできなかったからだと説明する。
25 June 2009