ウルトラヒップ Ultra-Hip
Beat Root
50年代のアメリカが生んだ、ビート・ジェネレーションを代表する詩人アレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg)。
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彼の詩「Howl(吠える)」の冊子が初めてサンフランシスコのシティー・ライツ・ブックスの店頭に出たのが1956年11月。シティー・ライツの発行者ローレンス・ファリンゲティ(Lawrence Ferlinghetti)がそれを千冊出版すると決めたとき、ギンズバーグは「そんなに売れる訳がない」と驚きのあまり言葉を失った。それが今や世界で百万冊以上も売れている冊子であることは言うまでもない。
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あれから50年、ギンズバーグにつての2冊の新しい本が出版された。「I Celebrate Myself」(彼のバイオグラフィー)と「The Book of Martyrdom and Artifice」(彼の初期のジャーナルと詩)である。
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1941年14才の時にギンズバーグはこう書いている。「もし、未来の歴史家や伝記作者が天才が何を考え、幼きころ何をしたかを知りたいなら、答えはここにある」「僕は天才か、自己中心的なのか、あるいは精神分裂症なのか」「たぶん最初の二つだろう」
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彼の初期のアイデンティティは他の若い作家同様に自分の言葉を見いだそうとする。そしてその自意識過剰と困惑はギンズバーグの若い頃の作品をより一層深みのあるものにしている。
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記録にはないが、ギンズバーグは17才の時にジャック・ケルアックとウィリアム・S・バロウズに出会っている。また、偶然にも1952年までに後に脚光をあびるほとんどのヒップスターたちと出会っているのである。
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人類が目指すべき理想郷を写し出した彼らは、人間の根源的な姿を読者の思考に焼き付けたボヘミアンとして永遠に語り継がれることは間違いない。
14 Nov 2006